Friday, December 17

12月の徒然 ⑤






ちょっと前のおはなしですが。

春に、日本に1ヶ月間帰っていました。
全然予定していなかった帰国で、帰ると決めて数日後には飛行機に乗ってました。
一人暮らしの母が急遽、長年患っていた膝の手術を受けることになったからでした。

母が入院していた病院は実家から近い場所だったので、わたしは病院への行き帰り、毎日自転車に乗って、カメラを持って猫はいないかなときょろきょろしながら通うのを楽しみにしていました。
病院での付き添いのあいだも、「猫探しに行ってくる。」と言って、カメラを首にぶらさげて散歩にも行きました。
そのくらい猫探しを楽しみにしてたんです。

そして、猫探しの決定的終末、ともいえる瞬間は予期せずして突然にやってきて、わたしを大きく打ちのめしました。
病院から帰宅後、マロン(母の相棒チワワ)の散歩をしていたら、手のひらサイズの猫が3匹、草むらにころんと転がっているのを見つけたのでした。
瞬間、わたしはひどく動揺して、それでもとても冷静に、まずはマロンを家にもどして、それから3匹の保護にでかけたのでした。
それからの数日間は、心身ともに、大きく打ち寄せる荒波にもまれているような日々を送りました。
そんな怒濤の日々のあいまに、わたしはひとつ歳をとり、いろんな思いにたくさん涙しました。

ここにある3枚の写真は、3匹の猫のために撮ったものです。
3つの命を救えるかどうかわからないでいた時、意を決して撮ったものです。
もしもこの子たちの命を救えなかったとしても、わたしだけは、この子たちがこの世に生まれて、この世界に存在していたことの証拠になろうって。
アメリカにまた戻って、このフィルムを現像して手元にこの子たちを映しだすスライドが残った時、この子たちはもう存在しません、なんて未来を想像しただけでも、それはそれはひどく恐ろしい不安であり、覚悟の要る決心でした。
でも、それは、わたしが決めなければいけない覚悟で、わたしが受け入れるべき試練だと納得しました。

今、3つの命は、それぞれに、それぞれの保護者のもとで、温かな愛情につつまれて暮らしています。
2010年、一番苦しくて、一番嬉しかったのは、この、3匹の猫事件です。
いちばん上の子は、ミィちゃん。
広島で、飼い主さんからの寛大な愛情を受けながら暮らしています。
2番目の子は、わたしはその名前を知らないでいるのだけど、実家近くの小学校に通うかわいい女の子と一緒に大きくなっていってるはずです。
いちばん下が、ツキ。
わたしが名付け、今は実家の母の新しい相棒として、大変なやんちゃぶりを発揮しています。

キジの子が一生懸命声を張り上げていなかったら、わたしはこの子たちに気づかなかったと思います。
ミィちゃんは保護した後の回復が一番早く、体重の増加も一等賞でした。
当初は目も開いていなくて、一番小さくて、一番衰弱していたツキ。
この子はダメかもしれない、と一番わたしを心配させていたのに、今ではこの子が一番やんちゃで大変なんじゃないかと思わせるほどです。
そしてわたしは今、まるで、この子たちに幸せを運んだ幸運の女神のような気分でいます。

でもわたしのそんな自己満足も、たくさんの人の温かな気持ちに支えられてここにあるものです。
入院患者の身でありながら、病院の公衆電話からあちこちに電話をかけてくれたり、そこいらじゅうの看護婦さんや患者さんに尋ねてくれた母。
3匹を発見した翌日に会う約束があったのに、それをいきなりキャンセルされて、その上、それ以降の里親さん探しやわたしの気持ちのケアに心を尽くしてくれた、帰国中に再会の約束をしていた唯一のお友達。
インターネットでの呼びかけに俊敏に反応してくださり、わざわざ広島からお迎えにきてくださったミィちゃんのパパさん、ママさん。
里親募集の張り紙を快く掲示させてくれて、心配してくださった近所のお店のおねえさんたち。
最初から最後まで一緒に走り回ってお世話くださった、動物病院の先生。(先生はわたしのタイプです。)
みんな、この子たちを救った神さま、女神さまたちです。

「3匹の猫事件」は、そんな幸せに満ちた、めでたしめでたし、の実話です。


それでは、また。
どうぞ、楽しい週末をお過ごしくださいませ。
チャオ!

6 comments:

akanée said...

そっか、タイプだったのか!!(それは聞いてなかったジョ>m<)

苦しいことと幸せなことはセットなんよね。
ことさら、ヒトよりこの世界ではどうしても弱い立場の動物たちのこととなると
それを思わずにはいられません。

こんなちっちゃくて頼りなげなコネコたち
いいおうちができて元気に暮らしてて本当にうれしい。

y_and_r_d said...

こんにちは。
里親が見つかって良かったですね。
はるばる日本に帰ってこられたのは
この三匹が呼んだのかもしれませんね。

tomily said...

akaneちん、あははは、そそ、先生ね、結構わたしのタイプだったんだー。
メガネかけてて、ひょろーっ細くて、背が高くて。
あ゛っ。
全然moriちゃんとちゃうやん。
あ゛。(笑)

で、その節は、本当に、本当に、ありがとうでした。
きちんとお礼さえ言えてなかった気がする。
あの時、わたしは本当に途方に暮れてて、akaneちんのサポートなしではくじけてたよ。
この写真たちね(ツキのは後日撮ったもんやけどね)、泣いてるわ、雨の日やったし北向きの部屋やったしで暗いわ、ISO低いわで、撮るの苦労したんやけどね。
撮っといてよかったって思える写真たち。

うちのかぁさん、ツキにはほんと手を焼いてるよ^^;
でも、かわいいって、言ってくれてる。
うん、この子たちに家が見つかって嬉しい。
幸せ。^^

tomily said...

yさん、こんにちは。
そっかぁ、そんな素敵な考え方があったんだ、と、yさんが下さった言葉に新鮮ささえ覚えました。
そして、そう思うことができれば、それはわたしとしても救われる思いです。
だって、あの時はどうしてこんな時に、こんなに大変なことばかりが重なるのか、と打ちひしがれてしまってたし、その後もなんとなく、そのことを消化できずにいたので。
ありがとうございます、素敵なメッセージを。^^

Hermine said...

Your cat is very cute. ooh.

tomily said...

thanks, hermine!
actually none of them are mine but they were happily adopted by kind people. :))